メランコリアス
眼前のこの男は、体力皆無なインドア派であったはずだと、は思惟した。
そう、確かにこの男は幼馴染の体力馬鹿より遥かに、友人のバイク好きの少年よりも体力に自信がない。
それは今まで育ってきた環境が影響するのか、それとも彼が体力を主とすることを今までに必要としていなかったからか、頭脳だけで生き抜いてきた少年に体力は必要なかったのか、定かではないが。
それでも女性ではあるが軍人のより体力が少ないことは確かだった。
体育のマラソンでも短距離でもボール投げであってもバスケットボールであっても、ルルーシュ少年がに勝った事はなかった。
無論、も体力皆無が代名詞と化しているルルーシュに負けるつもりなどはないのだろうが。
しかし、その体力無し少年に毎晩動けなくなるほど愛されるはその事実に眉を寄せる。
何故だろうか、毎夜の行為で自分は散々弄ばれて、挙句の果て必ずが先に達し、激しいときは意識を飛ばしてしまうのだ。
それがは気に食わなかった。
あの細い身体に何処にそんな力が(気力)があるのだろうか。
そうして今宵もは散々の前戯の後、こうして揺さぶられているのだった。
「う、あ…っ!やっ、」
「お前っ、腐っても軍人、なんだろ…っ、こんなすぐにバテていいのか?」
にやり、覆いかぶさる美少年が微笑んだことによっては更に表情を歪めた。
的確に毎夜の行為によって見つけられた其処を執拗に攻められる。
抗議の声を上げようとしても、慣らされる間に一度達してしまったは息苦しいほどの快感に襲われ、それすらも叶わなかった。
「はあっ、あ、あ、あ、…!んんぅ」
薄い腰をがっちり掴んでルルーシュは更にを攻め立てる。
そういえば誰かがルルーシュは童貞だの何だのと言っていたが、結局あれは嘘なのか。
そこまで考え、は飲み込まれかけていた意識を引っ張り起こし、華奢な肩にぐっと手を置いた。
「…ん」
「は、ルルーシュっ、待っ、て」
「なんで」
露骨に嫌そうな声を漏らしたルルーシュは眉を寄せ、眼下の濡れたの瞳を覗き込んだ。
明らかに快楽に呑まれた表情は、それこそまだまだルルーシュは本能に駆り出すには充分である。
しかし震えた手が最後の抵抗だというように、ぐぐ、と肩に押し当てられ、ルルーシュは更に眉を寄せた。
「ほんとっ、待って、よ、」
「何を今更…、」
「ひゃっ、あっ、ん…、お願いだからっ、待ってっ」
あまりに切羽詰った声色で、は懇親の力でルルーシュの華奢な身体を押し返した。
無論、気を抜いていたのか、重力に逆らうことなくルルーシュの身体は今の今まで押し倒していたと逆方向に倒れこむ。
急にルルーシュのそれが抜かれた所為か、小さく悲鳴を上げただが、しかし震える身体を無理やり起こし目を丸くする彼に跨った。
「?」
「はっ、あ、…」
ぱちくりと此方を見つめるアメジストに不敵に微笑みながら、はルルーシュの程よく筋肉の付いた腹筋に手を置き、ゆっくりと腰を下ろす。
「なっ、」
「あうっ、んあっ、…」
ずりゅ、と卑猥な水音を響かせは勃ち上がるルルーシュのそれを飲み込んだ。
貧欲に収縮を繰り返す膣内に、思わずルルーシュはその腰を掴む。
「何だ、、…、今日は随分と、積極的なんだなっ」
「やっ、駄目、まだ、動いちゃ、だめ」
肩を震わせ息をするは、彼を咥え込んだまま漸く呼吸を整えると下腹部に力を込めた。
「んやっ」
勿論そうなればも快感を拾うことになることは分かっていたが、眼下で辛そうに眉を寄せたルルーシュにふふん、と微笑んでやった。
はどうしても自分の方が勝っていると証明してやりたかったのだ。
力を込めたまま腰を揺らめかせれば、明らかに快楽を含んだルルーシュの反語が聞こえる。
「こらっ、!」
「ルルー、シュはっ、ずるいっ、あたしよりも、情けない、のにっ」
微妙に嫌味を含みは声を上げると、再び浅く腰を揺らめかせる。
その微妙な快感がもどかしいのだろう、ルルーシュは思わずの腰を掴んで自身の腰と密着させた。
「あっ、んっ!」
そうすれば通常の体位では届かないような奥深くにまでルルーシュを感じてしまい、は再び主導権を握られたことに涙を零した。
こういった些細なことで負けず嫌いを発揮するが可愛くて仕方ない、と感じてしまうルルーシュもそうとう重症である。
最奥をぐりぐりと先端で刺激してやり、自身も腰をシーツの方へ引くとの腰掴んでを浮かせた。
そうして勢いをつけて再び挿入すれば、悲鳴に近い嬌声が鼓膜を揺する。
引く際に僅か膣内の微肉が顔を覗かせ、ルルーシュは妖艶に微笑むとそっと其処をなぞった。
「ひゃあっ、やっ、やだっ、ルルーシュっ」
自分の腰を掴むルルーシュの腕に手を当てても最早彼を煽る材料にしか成りえない。
ぐんぐんと下から突き上げたまま、の手をとってルルーシュは二人の繋がる其処に小さな指を押し当ててやった。
「ほら、分かるか?俺が入ってるとこ」
「やだっ、やっ、」
くしゃりと表情を歪めるだけで抵抗らしい抵抗もできずにはルルーシュの成すがままに結合部分に指を這わすことになる。
そうするだけで、内壁は信じられないほど締りそれによって自らも快感を拾ってしまい、しかし指先に感じる自身の蜜口やルルーシュにはぽろぽろと涙を零した。
「…」
そっとその名前を紡ぎ、ルルーシュはの手を離し優しく包み込んでやった。
嗚咽を漏らし本気で泣き始めたに、ルルーシュは挿入しながらもあたふたと目を白黒させた。
どんな状況にも順応できる少年も、愛しい彼女とのイレギュラーには対応できないのである。
「ご、ごめんって、」
「ふっ、ん、く…、」
「俺が悪かったんだよな、謝るから、ごめんな」
「…ルルーシュのばか」
実際問題こんな状況もたまには新鮮かもしれないと、何処か思惟するルルーシュは既に末期であった。
涙で濡れた瞼をそっと撫でてやり、ルルーシュは今度こそ欲を開放させるべく、の中を突く。
そうして結局騎乗位のまま果てたはぐったりとルルーシュの身体に倒れ込み、悔しそうに声を漏らした。
「ほんと、ルルーシュ、なんでこういうことするときだけ、こんなに元気なのよ」
「は?」
「体育であたしルルーシュに負けたことなかったし、いっつもスザクの次くらいなのに…、ムカつく」
あまりにストレートな意見にルルーシュは首筋に顔を埋めるを見た。
「ルルーシュほんとは体力人間なの?」
「はあ…、お前本当馬鹿だな」
「なっ、なんでよっ」
ばっ、と顔だけ上げたは至近距離に見えるアメジストを睨んだ。
ああ、悔しがってる悔しがってると、ルルーシュはほくそ微笑みながら。
「俺がこうしてやってる間にもお前無駄に抵抗するから体力使っちゃうだろ?」
言いながら押し当てられているふくよかな膨らみに触れれば大袈裟なほどの身体が揺れた。
そのままつ、と身体のラインをなぞりながら柔らかい双丘を掴む。
「んっ、ルルーシュっ」
「それに慣らしてる間にだってイくし、そりゃあお前の方が先にバテちゃうだろ」
にやりと微笑んでルルーシュはの額に唇を押し当てた。
僅か驚くような表情の後、は頬を膨らませ目の前に見える彼の首筋に同じように唇を当てた。