「何をしているんだ、お前は!!」

人気のまったくない場所で、ゼロはに怒鳴った
は反抗もしないで、しゅんとした様子で俯いていた

「何故、あんな真似をしたんだ…!」
「…、だって、銃弾が当たったら」

申し訳なさそうに俯く彼女にゼロは仮面の奥で唇を噛んだ
確かにあの行動がなければゼロもろとも死んでいたかもしれない
本当は、ゼロは心配しているだけなのだ
だが当人を含め、そんな感情に気が付かないのが現状である
ゼロは僅か間をおいて、言葉を飲み込んだ

はそんな様子を見てから、二人の会話を聞いていたカレンの下へ行った
カレンはなにか困惑したような顔で、を見る
けれどは何も無かったかのように話しかけた

「ごめんね、さっきは あんな事しちゃって…驚いたでしょう?」
「え、あ、いや…その、それよりあなたは…」

あからさまに車に乗る前と態度が違うカレンには苦笑いをしてから、観念したように肩を竦める
そして、ルルーシュやスザクからちょうど背を向けられる位置に移動してから、面に手をかけた

「え」

そしてゆっくりと面を外した

「あたしは、ゼロの部下よ」

そう言うと、はにっこり笑った
しかしカレンはそれどころではなかった
体格からして、自分よりいくつか下の者かと思っていたのだが面を外したの顔は、酷く幼かったからだ
こんな少女が…と思いながらもカレンは口を開く

「あ、あたしはカレン・シュタット…じゃないわ 紅月カレン」
「前者は、ブリタニアの前で名乗ってる名前?」
「そうよ」

は面白そうに微笑んでから、カレンに手を差し出す

「よろしく、カレン」

カレンは一瞬驚くが、すぐに同様微笑んでその手をとった

「ええ、よろしく」


すると、は持っていた面をもう一度顔につけてからカレンに言った

「あたしの事は絶対秘密にしてね、勿論あなたのとこの、レジスタンスにも」
「分かった、あたしもカレン・シュタット・フェルトよ」
「分かってる」

その時、スザクと何かを話していたルルーシュが急にを呼んだ

!来い!」

は面がしっかりとついていることを確かめると、早足でその場へ向かった
スザクは顔や首、とにかくいたるところに傷があり、は眉をしかめる
ルルーシュはその様子を見てから、告げた

「これを外せ」
「…首輪?」

ルルーシュが指すのは、スザクの首についている機械のようなものだった
一見、首輪のように見えたのではそっとそれに触れてみる
「っ、痛」

しかしちょうどその時、はスザクのブリタニア兵の拷問によってつけられた傷に触れてしまった
思わず声を出してしまったスザクは、その機械からくる電流に顔をさらにしかめた

「…電流?」

その機械は、スザクが何かをしゃべろうとすると、どうやら電流を流す仕組みになっているらしい
はひどいと、表情をゆがめると指先でその機械をそっとなぞる
すると、がしゃんと音をたててその機械はあっけなく外れた

目の前で起きた出来事に目を丸くするスザクもが自分の頬に触れたのを感じて視線を彼女に戻した

「…痛い?」
「え、いや…」

スザクが何か言い終わる前に、はそっとスザクの頬の傷をその細い白い指で撫でた
すると、頬になにやら生温い何かを感じ、気づけば傷は無くなっていた
は面で顔が見えないが、肩を小さくすくめて笑ったような仕草をする
スザクはに礼を言おうとして口を開いた

「あ、ありがと」
「それはゼロに言って」

しかしそれをが遮った
そして、はゼロに向き直ると顔にかかっていた髪の毛をはらってから、面をとった
もちろんスザクには背を向けるような形で

「さっきはごめんなさい」

それから足早にそこを去った




「馬鹿が…!!」

ルルーシュの声が響いた中でスザクは歩き続けた
覚悟は決めたのだ、例えそれが自分に不利であっても

すると、影から一人の少女が姿を見せる
それはで、彼女は少し悲しげな雰囲気を漂わせていた

「君は…」

スザクはそう呟きながらに近づく、否、がスザクに近づいたのだ
そして目の前に立つとは、俯いた

「なんで…」
「…え?」

は聞き取れる最小の音量で言葉を繋いだ
スザクは思ってもみない言葉だったので、多少驚く
それでもは顔を俯かせたままだった

「さっきは、ありがとう」
「うん」
「また、どこかで逢えたらいいね」
「そう、だね…」
その言葉を残して、スザクはの横を通り過ぎる
は一瞬だけ、スザクの腕を掴もうかと思うもそれでも彼の決意は変わらないと
悟ったのか、そのまま自分もゼロのいる方へと歩き出した