なんだか大変な日だったな、なんてがぼんやり思案している間にもすっかり暗くなった闇夜にルルーシュの現在住んでいる
クラブハウスが不気味光に照らされている様に視線を上げた
「一緒に帰ってきたらナナリーが変に思う 俺が行ってから少し経ってから入って来い」
ルルーシュはにそれだけ言うと、自分はさっさと中に入っていった
は大きなクラブハウスを見上げてから、玄関近くに腰を下ろす
「大丈夫かな、あの人」
初対面の人間に、何をこんな感情を抱くのだろうと、僅かに嘲笑めいた笑みを浮かべる
それでも頭の片隅にスザクが最後に笑った顔が妬きついているのだから、相当心配しているんだろうと思った
外はその季節でもさすがに少し肌寒く、は軽く肩を抱いた
「そろそろ、入ろっかな…」
はぽつりと呟いてから、降ろしていた腰をあげる
そしてなるべく歩く時に腰に掛かる鞘が擦れぬよう、静かに足を進めた
ナナリーとルルーシュがいるであろう部屋についたは、曇っていた顔を無理やり緩ませた
「ただいまー」
なるべく明るく言ったつもりだが、やはり少しいつもより声のトーンが低いな、とは感じた
しかし、部屋の中にルルーシュはいなく、ナナリーが少し困惑したような顔で座っていた
足元にはカップが粉々に割れていた
「な、何コレ、どうしたの?ナナリー怪我ない?」
「あ、さんおかえりなさい あの先ほど…」
「ちょっと待ってね、すぐ片付けるから」
はナナリーが何かをしゃべろうとしているのに気づかず、カップを片付け始めた
「あの、さん?」
「どしたの?」
「お兄様が…」
「ルルーシュ?そういえばいないねーどこ行ったのさ」
かちゃかちゃと音をたてながら、カップを片付け終わったはようやくナナリーが何かをしゃべろうとしているのに気づく
「あ、ナナリーごめんね?何?」
「その、さっきシーツーさんという方がいらして…どうもその方、お兄様と将来を約束した仲だって…」
「しょっ、将来を約束した仲!!?って、それって結婚ってこと!?」
「私にもよく分からなくて…」
ナナリーの発言にはいきなり声をあげた
そして恐らくルルーシュが自室にいるであろうと察したはナナリーに一言残して、部屋を出た
「いや、感謝してるよ 俺スケジュールが大幅に…「ルルーシュうう!!!」
ルルーシュがようやくギアスをC.Cにもらった力だと気づいたとき、部屋の外からものすごい大きな声が聞こえた
声からしてだと気づいたルルーシュは、ぎょっとしてドアに近づく
しかしの方が一足早く、ドアがしゅんと音をたてて開いた
「ルルーシュ、ルルーシュ!!シーツーって誰!?結婚するの!?」
「…お前は…」
は奥のベッドに座っているC.Cに気づかず、興奮したようにルルーシュに飛びつく
ルルーシュは何を聞いたか知らないが、が興奮しているのを見てため息をついた
「結婚って、そりゃ早いとは思わないけどさ!」
「お前、そんなの本気で思っているのか」
「本気ってナナリーが……―誰?」
やっとC.Cの存在に気づいたは、首を捻ってルルーシュを見た
ルルーシュはどうやってごまかそうと、その場で恐ろしい速さで考えていた
しかしの言葉でその思考も虚しく意味を成さなくなる
はルルーシュの部屋に足を踏み入れようとした時、何かを感じそれをやめた
不審に思ったルルーシュは思わず声をかける
「どうした?」
「…誰、…、へんな、感じが」
は少々顔をしかめながらC.Cを見た
嫌な感じ?とルルーシュは眉を顰める
「ギアスの時の…あの感じ…」
「!!」
「!」
ルルーシュもC.Cもの言葉に驚いたようで、目を見開く
そしてC.Cはベッドから立ち上がり、に近づいた
「ルルーシュ、この女は誰だ?」
「お前に言う必要はない」
「私が知りたいのだから、言う必要はある」
「…もしかして、あなたがシーツーさん?」
は意味が分からなく、ひとまず思ったことを口にする
C.Cはそれを聞いて、ルルーシュに向けていた視線をに向けた
は少し驚いて、その金色の瞳を見つめた
「お前…、一般人ではないようだな」
「は?」
何を言うのかと思ったらいきなり初対面にそれはないんじゃないだろうか、とは少し思う
「一般人っていうか…、(この格好みたら不審に思うよね)」
「ルルーシュ、この女は誰だと聞いている」
「だから「あの、あなたはルルーシュのギアスのことを知ってるの?」
「何?」
ルルーシュは余計な事を…と眉間に皺を刻む
そうして無理やりとC.Cの間に立ちはだかった
「、お前には関係ない 部屋に行け」
「か、関係ないってどうゆー意味?あたしだって"計画"に協力してるんだから関係なくはないでしょ!?」
「そうだぞ、ルルーシュ 関係なくはない」
「お前は黙ってろ」
さらに絡み合っていく複雑な状況にルルーシュは頭をかかえる
そしてようやく意思を固めたルルーシュはを部屋に入れた
C.Cはそれを見て再びベッドに座る
「まず、C.C、お前の話をしろ 俺も知っておきたい」
ルルーシュはいつかのように、社長のようにC.Cを見下ろして言った
しかしC.Cは視線をに向けてからルルーシュに告げる
「いや、この女の事を私に教えろ どうも興味深い ルルーシュ、お前の秘密も知っているんだろう?」
「秘密って、ギアスのコト?」
「そうだ、私に話してくれ」
は別にいいけど、とにっこり笑ってからルルーシュの方を向いた
「いいよね、別に このシーツーさんはギアスの事知ってるんでしょ?」
「知っているって、俺はコイツからギアスを貰ったんだ」
「え?そう、なの? …まあ、うん 同じような感じしたからね シーツーさんとギアス発動時の感じが」
納得したようには頷いてから、C.Cを見る
「なんか、変な話だけど全部本当だから 最後まで聞いてね?」
「ああ」
ルルーシュはもう諦めたのか、イスに座って自分もその話に少し耳を傾けたようだった