「ほう、逃亡者の女とな…」

C.Cは面白げに口元をゆがめるとを見た
確かにルルーシュの、ゼロの計画に参加するなど一般人の女とも言えないが
記憶もないと告げられればそれは興味深いものだった

はうん、と頷いてから話を続けた

「あたしは逃げてたんだと思う、きっと」
「それで気付いたらその刀を抱えてアッシュフォード学園にいたと?」
「そう、最初はすっごい不審者に見られて…、大変だった」

はふとルルーシュを見る
彼は特に返答するわけでもなく、その前にC.Cが喋りだしてしまった

「では何故ギアスの事を知っているんだ?」
「それは、「が気づいたんだ、その左目どうしたのって」

いきなり話に入ってきたルルーシュだが、視線はパソコンに向けており、C.Cは興味深そうにを見た

「ほう、自分で気づいたのか」
「…違和感っていうのかな、何か感じたの」
「では私をそれを感じるのか?」
「ううん、さっきは感じたけど今は大丈夫」
「そうか、」

ルルーシュは話が終わったかと思い、ぎいっとイスをとC.Cに向ける

「お前、これからどうする気だ?軍に追われているんだろ」
「追われているといっても、一部だ こうして普通に身を隠していれば大丈夫だ」

そういうと、C.Cはベッドに潜り込んだ
その様子を見て、ルルーシュは慌てたようにC.Cに近づく

「ここで我慢してやる」
「我慢してやるって…!」
「男は床で寝ろ。」

はあ、と大きなルルーシュのため息が部屋に響いた
はC.Cの顔を覗きこんで声をかけた

「シーツーさん?」
「なんだ」
「明日色々聞かせてね」
「…?」
「え?」
「名前だ」
「あ、うん  シーツーでいいの?」
「ああ」

C.Cはごろりと体勢を変えてルルーシュとは逆の方を向いた
は変わった友人ができたと思い、頬を緩ませる
しかしルルーシュはあからさまに面倒な顔をしてから、C.Cの放り投げたブーツを整えた
紳士だなあ、なんてが思っていると急にルルーシュが自分の方を向いた

そしての腕を掴むと、部屋の外に連れ出す
C.Cがシーツの間からそれを見ていたのを二人は知らない

「余計な事は言うな…!」
「言うなって、シーツーはルルーシュにギアスをくれた人なんでしょ?」

部屋の外に連れ出したルルーシュは、すぐさまに詰め寄る

「なら、教えておいてもいいと思うけど」

が自信有り気に言い放つと、ルルーシュはぐっと押し黙った
そして自分の腕をルルーシュから開放させると、は自室に向かった
「おやすみ」
そう残して





翌朝、ルルーシュはすっかり学校へ行く用意をし終わってから、の部屋を訪れる
部屋の中ではもう起きたらしいがナナリーに借りた、薄桃色のTシャツと
茶色のマイクロミニスカートを着て何かの本を読みふけていた


「あ、ルルーシュおはよう どうしたの?」

はルルーシュの気配に気づいていなかったらしく、ようやく本から目を離した

、今日からお前も学校へ行くぞ」
「は?」

思わず間抜けな声がの喉から通って、部屋に響いた
そんなにお構いなしと、ルルーシュは現在着ている制服の女子用を渡す
はそれを見てさらに首を傾げる

「これは、制服?」
「昨日の内に調達しておいた 理事長にももう言ってある」
「…ギアスとか使ってないよね?」

の問いにルルーシュはふいと視線をそらした
図星か、とは一瞬苦笑いするが、学校に行けるという嬉しさでいっぱいのようだった

「ルルーシュ、ありがと!」

大きくルルーシュに礼を言ったは、まだ彼が部屋の中にいるというのにおもむろに服を脱ぎ始めた
その行動にルルーシュはぎょっとして部屋を出た

「人がまだ部屋の中にいるのに着替えだすな!!」
「なんで?あたし見られても大丈夫だもーん」

ドア越しの声に適当に返事をして、はビニール掛けされている制服を手に取った
そして一度にっと笑うと、制服に腕を通す




「ルルーシュ、どう?」

あれから5分としないうちに、はルルーシュと同じマークのついた制服に身を包んで姿を現せた
あの真っ黒な服や、ナナリーに借りていた服とも違う、初めてみるの格好にルルーシュは一瞬気をとられた

「ふふ、どこの世界も制服ってかわいいね でもスカート短くない?」
「それくらい普通だろ ほら、早く行くぞ」
「はーい」

ルルーシュから制服と一緒に渡された鞄を持ってはクラブハウスを出た

きょろきょろと興味深々です的な、先ほどから落ち着きのないを見てルルーシュは無意識のうちに頬が緩んでしまう
元々警戒心の強いルルーシュを、ここまで心を許させた少女の行動などは多分彼にとってもスザク以来だろう
そんな事も露知らず、はにこにこしながら口を開いた

「ここの学園って大きいねえーあとで探検してこよっと」
「勝手な行動は駄目だ、とりあえず今日は授業が終わったら真っ先にクラブハウスに帰れ」
「えー」

は唇を尖らせて顔を曇らせる
そんな一々の行動もルルーシュは、見逃さなかった
その時、後ろから馴染みのある声(ルルーシュにとって)が耳に届いた

「あっれー、ルルーシュ どしたのさその子」

二人一斉に振り返ると、藍色の髪の毛を持った男子生徒が不思議そうな、面白そうな声色で聞いてきた

「リヴァル」
「…お友達?」

ルルーシュが口にした名前には聞き返す
まずいところで会った、とルルーシュは内心舌打ちする
と自分はなるべく接触しない方がいいと思っていたルルーシュだが時既に遅し
とにかく今はが自分と遠い親戚だという事をリヴァルに告げようとするルルーシュ

「ルッルーシュー♪こんなかわいい子連れてどうしたんだよーもしかして彼女?わーシャーリー可哀想…」
「違うってリヴァル、彼女は俺の親戚なんだ 今日俺達のクラスに転校する事になってるんだよ」
「え!転校!?しかも俺達のクラスに?」
「そう、で理事長室まで案内してあげてるだけ」

は意味が分かっておらず、ルルーシュに声をかけようとしたが、彼の視線を感じそれをやめた
「あ、って言います よろしくお願いします」