「へぇー…、これはおもしろいねえ」
ロイドはここ、研究室に来てからずっとモニターを見て何かを呟いていた
最初はいつものことだと思い、セシルも研究員達もそのままにしておいたが、あまりにも長い時間そうしている
ので、さすがに何事か察し、声をかける
「ロイドさん?随分長い時間何か見てますけど、何を見てるんですか?」
「あ、セシル君 いい所に来たねえ、これ見て」
そう言って、ロイドは自分に向けていたモニターをセシルの方に軽く押す
セシルは持っていた書類をしっかりと腕の中に納めてから、モニターに目をやった
モニターに映し出されていたのは、昨日のゼロ事件の報道映像だった
まったく、せっかくのデヴァイザーが捕まってしまったというのに何を見ているんだとセシルは少し思う
ロイドは面白そうに笑みを零しながら、映像の中心的な存在のゼロではなく、隣にいる少女を指差した
「この子、面白い事するんだよねえ」
「面白い事…?」
「そー、よぉく見てて」
そう言われ、セシルは先ほどよりずっと目をこらしてモニターを見つめる
その時、モニターの中でいきなりその少女が掌からなにやら黒い光の塊が出し、ヴィレッタの撃った弾と相殺した
そのあと、ゼロの声が端っこで聞こえたが、少女はそれを聞き入れる様子も無く、
懐から何かを取り出してそれをナイトメアの軍勢に投げ捨てた
周りの騒々しさで声までは聞き取れなかったが、次の瞬間ゼロを囲んでいたナイトメアが塵になっていた
「…これは」
「ね?面白いでしょ?」
そこで映像は切れた
セシルは驚きを隠せないような顔で、口元を押さえる
ロイドは新しい玩具を発見したような子供みたいに、見るからにわくわくしているようだった
「気になるなあ、これ」
*
「ここが君のクラスだから」
「あ、ハイ…」
そういって教師が立ち止まったのは、隣にあるドアと同じドアの教室
はまたも転校生になってしまったと軽く苦笑いする
教師はの苦笑いに気が付かないで、自分はとっとと教室内に入っていく
も遅れをとらないように、教師のあとに続いて教室に入る
一気に教室内が騒がしくなる
は少々の恥ずかしさに、若干顔を俯かせていた
「ほら」
「あ!はい」
の紹介は終わったのか、教師は彼女を呼んだ
(自己紹介しろってか…)
そう察したは俯いていた顔をあげた
まず第一に目に入ったのは、いつもと変わらないルルーシュの顔
そして、は先ほどルルーシュから聞いた事項を確かめようとした
教室内をぐるりと見渡す
すると真ん中の方で、カレンが酷く驚いた顔をしてこちらを見ていたのが目に入った
「(あ、本当だ)」
はルルーシュからこのクラスにカレンがいるという事を聞かされていたのだ
カレンの視線が痛い中、は軽く微笑んでから口を開く
「と言います 父がブリタニアで母がイレブンのハーフです 宜しくお願いします」
一気に教室が静まり返ったのが分かる
ルルーシュから聞かされていたが、本当にブリタニアはイレブンを差別するようで、も冷や汗を垂らした
「それじゃでいいよ?」
「え?」
「あたしもカレンって呼ばせてもらうから」
悪戯を成功させたような顔で言うと、少しぎこちなさそうに頷くカレン
名前で呼ぶのなんて当たり前じゃないの?
そんな疑問を持ちながら、あたし達は教室へと向かった