休み時間もそろそろ終わりそうになる
ルルーシュは何かを考えているような仕草で席に着いていた
考え事とは唯一つ

まだ帰ってこないとカレンのことだ

休み時間になってすぐ、カレンはを呼び出しそして教室から連れて行ってしまった
そしてまだ帰ってきていないのだ
がカレンを呼ぶのはまだ分かる
しかし何故カレンがを呼ぶのかが分からない

二人の接点はあの夜の日だけ
しかもは面をつけていて素顔は見えなかったのだ
だから表面上、カレンにとって二人は初対面であるはずなのだ
なのにカレンはを呼び出した

ルルーシュは考えても埒が明かない、と思い俯けていた顔を上にあげる

ちょうどその時、目の前にリヴァルが現れる
何か話そうとしたのか、リヴァルはルルーシュに向けて口を開いた

「ルルーシュー」
「なんだ、リヴァルか」
「なんだって…って、そおだ、あの子 ちゃんね イレブンだったんだなあ」
「イレブンじゃあないって ハーフって言っていただろう?」
「まあ、それよりちゃんってルルーシュの親戚なんだろ?」
「親戚っつったって、本当遠い親戚だよ」

ルルーシュは納得させるような物言いでリヴァルに言った
リヴァルは何か残念そうな顔をしてルルーシュの机に腕を投げ出す
当然、リヴァルの腕はルルーシュにぶつかる

その時、リヴァルの後ろ越しのドアに、待っていた人物が顔を覗かせていた



思わずその名を呼んでしまったルルーシュ
瞬間、教室が一気に静まり返る

は自分が入ってきたことに対して静かになってしまった教室に、少し入りにくそうな顔をしてルルーシュの下へ向かった
ルルーシュの目の前に来たは、苦笑いを零して口を開いた

「この学校って広いね、迷っちゃった」

高等部をぽりぽりとかきながら、てへへと笑うにリヴァルは一瞬見とれる
それを面白くなさそうに見ていたルルーシュに、はさらに苦笑いをする
しかしルルーシュは一番気になっていたことを思い出し、に問いかけた

、どこ行っていたんだ?」
「ん?トイレだよ カレンに教えてもらったの」
「え、ちゃん カレンと友達なの?!」
「そ、そだけど…」

黙っていたリヴァルがいきなりずいっと近づいてきたのに、は少し驚きながらも答えた
その時、遅れて教室に入ってきたカレンをが見つけたと同時にチャイムが鳴り響いた
はルルーシュとリヴァルに優しく微笑んでみせてから、窓際のカレンの隣の席に着いた




「何処に行っていた」

授業が全て終わり珍しく生徒会もないルルーシュは、を引っ張りクラブハウスに戻ってくるといきなりそう言い放った
は一瞬驚いたような、面白そうな顔をする
そして昨夜ナナリーが折った鶴が置いてある机に鞄を置いて、はイスに座った

「さすがルルーシュ、あたし結構演技してたんだけどなー」
「いいから答えろ カレンと何処へ行っていた」
「…カレンと屋上行ってた、それで話しただけ」

さも当たり前カのように答えたにルルーシュは若干、内心舌打ちした
しかし何故話す必要があったのか、という疑問に辿りつくとすぐさま口を開く

「話す…?何をだ、お前達が話すことなどないだろう」

はルルーシュの言葉を聞いて、視線を下に泳がせる
見るからに何かを隠しているようだった
ルルーシュは座っているを見下ろし、制服の襟元を緩めた

そして、下を向いているの顔を自分に向けさせるために、彼女の顎をぐいっと上に持ってくる
当然の顔はルルーシュに向けられる
は観念したように、肩を竦めると、やがて口を開いた

「知ってるの、カレンは あたしがあの夜ゼロと一緒にいた人物だって」
「なっ!!」

ルルーシュは酷く驚いたような声を上げる

そしてイスに座っていたの身体を机に押し倒す
の背中の下で、何個かの鶴が潰れた気がした
しかしそんなのを気にしないかのように、ルルーシュは口を開く

「何故知っているんだ…!」
「…落ち着いてよ、ルルーシュ」
「お前、まさか自分で言ったのか?」

見事に正解を言い当てたルルーシュに、は苦笑いを零す
そしてルルーシュの頬を軽くなで、一気に彼の肩を押し返す

ルルーシュは頬を撫でられたことに心なしか顔を赤らめていた
は潰れてしまった鶴をまた折りながら話し出した

「ごめんね、ルルーシュ でも勿論ルルーシュのことは言ってない」
「当たり前だ、しかし何故…」
「寂しいじゃない ゼロとかさ」

ルルーシュはの言っている意味が分からず、眉をひそめる
しかしいきなり現れた人物にさらに、眉をひそめた

「何を話しているんだ、まったく 帰ってきたそうそう、押し倒すなよルルーシュ」
「C.C…」

ドアに寄りかかって自分達を見ているC.Cに、ルルーシュはあからさまにめんどくさそうな顔をした
C.Cはそんな視線を微塵も気にしない様子で、に近づく
は折っている鶴にだけ意識を集中させて、近づいてきたC.Cを見ないで口を開いた

「ただいま、C.C」
「おかえり、

なんとも質素な挨拶だった
は鶴を折り終わったのか、身体ごとC.Cに向ける

「学校へ行ったのか」
「うん、思ったより楽しいとこだったよ」

笑顔で言うに、C.Cが頬を緩ませた時だった、
面白くなさそうな顔のルルーシュがC.Cの腕を引っ張った
そして部屋を出て行こうとする
すかさずの冷静な質問が入った

「ルルーシュ、何してんの」
、嫉妬だ、嫉妬 かわいいものだろう」
「お前は黙っていろ!!」

嫉妬、とか呟いているを残して二人は部屋を出て行ってしまった
は出て行ったところを数秒見つめてから、また潰れてしまった鶴を折り始めた

沈黙で支配されている部屋はにとっていいところだったのか、
自身分からなかった


どうして、どうしてだろう
一人の、この寒々しい雰囲気に慣れていたはずなのに
脳裏で誰かの声が聞こえた