「そいやさースザク?」
「うん?」
「スザクって小っちゃい頃ルルーシュと仲良かったんでしょ?どうだった、そん時は…」

いきなり何を言い出すかと思えば、は真面目な表情でスザクに詰め寄る

ちなみに今とスザクがいるのは、現在ルルーシュの住んでいる所であり、自分も居候させてもらっているクラブハウスの前だ
何やら、ルルーシュとスザクの提案でナナリーを驚かすらしい
ナナリーとスザクは7年ぶりになるらしく、スザク自身も早くナナリーに会いたがっていた

は7年前の関係など露知らず、流れに合わせて今スザクといる
そして詰め寄られたスザクは、少したじろぎながらも「えっとね」と口を開いた

「ルルーシュは昔っからあんな感じだったよ でもま、ちょっと自分主義になったかな…」
「へー、ふーん…仲良かった?」
「え、まあ…てゆーか出会いが最悪だったんだよね…」

そう言うと、スザクは少し苦笑いを零しながらも、に自分とルルーシュの出会いを話してくれた

「僕、ルルーシュ殴っちゃったし…」
「あららー、駄目じゃん初対面の人殴っちゃー」

はかわいらしい笑みを浮かべる
その笑みにスザクは一瞬見惚れた
スザクにとって、こんなに親しく話してくれる女性は初めてで、彼自身とても心を開いていた

そんな中、二人の雰囲気をぶち壊しに来たのか、ルルーシュが面白くなさそうな顔で登場した

「おい、あまり大きな声で話してるとナナリーに聞こえる」
「あ、ルルーシュー」
「もう入っていいの?」
「ああ、バレないようにな」

そう言うとルルーシュは自分の後ろの扉を開けて、スザクを招き入れた
当然、も後から続いて入ろうとしたが、突如ルルーシュに腕を掴まれて行く手を阻まれる

「何?」

はルルーシュの方に向くと、へらっとした様子で聞く
ルルーシュは何か言いたそうな表情をして、そして腕を開放させる
ハテナマークを飛ばしているとスザクを連れて、ルルーシュはナナリーのいる部屋まで案内した

「ふふふ、ナナリー驚くね」

まるで子供のようにはしゃぐを見て、スザクは顔を緩ませる
ルルーシュはむっとした表情で、でもスザクには見られないようにした



「ただいま、お兄様 さん」

シュンと音を立てて入ってきたのはナナリーと咲世子
ルルーシュとは何事も無かったかのように椅子に座って二人の帰りを笑みで迎えた
その時、ルルーシュが優しい笑顔で口を開く

「今日は俺からプレゼントがあるんだ」

その言葉を聞いて、ナナリーは嬉しそうな反応を見せた
何も知らない咲世子はとルルーシュに首をかしげる
ルルーシュは人差し指を口の前に出して、「しー」とやってみせた
そして手招きをして、スザクを自分達の方に呼び寄せる

スザクはナナリーを見つけると、少し表情を強張らせた
7年ぶりの再会だ
心の準備というのがあるのだろう
そして、誰も何も発しない優しい沈黙の中で、
スザクはゆっくりとナナリーの横にしゃがんで、その小さな手を包み込んだ

「!! この手…」

ナナリーは触れられた手を自分の空いている手で何度も何度も、確かめるように撫でる

「まさか…スザクさん?」

スザクはにっこりと微笑み、そして7年ぶりの再会を果たした
ナナリーはぽろぽろと涙を零しながら、スザクの手を頬に寄せる
も無意識の内だったが、自然と優しい顔になっていた


お前は異端者だ

そんな声が聞こえた気がした



食事を済ませた4人は、久しぶりの団欒を楽しんでいた
といっても、にとってはこの3人が揃うのは初めての事
懐かしむ様子もなく、ただ団欒を楽しんでいた

その時、ルルーシュがお茶を淹れてこようとした
しかし親切なスザク、自分がやるといい始める

「座れよ、7年前と違って今は俺がホストなんだから」

ルルーシュが言うと、スザクはやはり笑みを零しながら椅子に座りなおした

「お前、大人しくなったな」
「君はガサツになった」
「はいはい」
「…やー、ルルーシュがお茶淹れるとか、結構貴重だよね」
「何が言いたいんだ、お前」
「あは、ごめん独り言ー」

はけらけら笑いながら、席をたつルルーシュに着いて行く

「なんだ、」
「何」
「着いてくるのか」
「あたしもそっちに用事あるの」

なんて質素な会話だろうか
スザクとナナリーはくすくすと笑いながら、二人を見送った


部屋から出て、キッチンに行くと、やはりの思っていた通りそこにはC.Cがいた

「部屋に居ろって言っただろ」

ルルーシュは軽くC.Cをあしらうと、コト、と音を立ててティーポットをテーブルに置く

「あの男、新宿で会ったブリタニア軍人だろ、いいのか?」
「いいんだ、あいつは…」

言葉を詰まらせたルルーシュに疑問を持ったC.Cは顔をあげる

「友達…なんだ」

そこではやっと口を開いた

「友達、ねぇ…ブリタニアの軍人なのに?」
「…あいつが選んだ道なんだ」
「…ルルーシュ、強いね」




「また来いよ、ナナリーも喜ぶ」

ルルーシュは帰っていくスザクを玄関先まで送っていく
スザクはその場にが居ないことに、少し残念そうにするがまた明日会えるのを楽しみにした

「うん、でも僕ら…学校では他人のフリをしよう」

突然のスザクの言葉にルルーシュは驚きを隠せない

「なんで!」
「だってどう説明するんだ、名誉ブリタニア人と友達だなんて…ヘタしたら君が皇子だってことがバレてしまう
ナナリーだって…君達に迷惑は掛けられないんだ…」
「お前はこの前も他人の都合を!」
「この前?」

ルルーシュはしまった、という顔をする
そうだ、スザクには自分がゼロだということがバレていない
この前、と言ってもスザクが分かるはずがない

スザクはにっこり微笑んで、「それじゃまた、学校で」でと言い残すと、ルルーシュに背を向ける

「スザク」

その時、この場になかった明るい声が響く
スザクは一度背を向けたが、再びルルーシュの奥から聞こえた声に振り向く
そこにはいつの間にか着替えたのか、パジャマ姿のが立っていた

…!」
「ごめんね、着替えてたら遅くなっちゃった」

はえへへと、頭をぽりぽりかく
そして、階段を数段だけ下りて、スザクの真正面に立った

「あのね、スザクは優しい」
「え?」
「だけど、優しいだけは、正義じゃないよ」

何が言いたいのか分からないに、スザクは首をかしげた

「つまり、あんまりいい人でいるなってこと!」

は微笑んでそう告げると耳元に唇を寄せた

「おやすみ」

いい夢を