「やっぱりこの前の猫だったか」

が抱えている猫を見ながら、スザクは言った
二人が建物から出てくると、騒がしかったその場は一瞬にして静かになった

スザクは周りを見回して、少し目線を下に泳がせる
は興味なさそうに周りを軽く見回すと、猫の頭を撫でた
その時、困惑したような顔のシャーリーと視線がぶつかった
がシャーリーに軽く笑いかけると、彼女は表情を晴れさせて、リヴァルとともに近づいてきた

「ありがとう、ルルを助けてくれて」
「やるじゃん、転校生!!」

2人に詰め寄られ、スザクは少し驚いたように頬を緩ませる

「この猫、何か持ってなかった?」

いつの間にか目の前にいたミレイは目を輝かせてに聞く

「何か被ってたようなんですけど、よく見えませんでしたし…いつの間にか無くなっちゃってて…」
「うん、あたしが捕まえた時はもうなにも被ってなかったかも…」
「あ、ルルは?」
「忘れ物があるから先に行けって…」
「それだー!アイツの恥ずかしい秘密!!」

恥ずかしい秘密、というミレイの発言には首を傾げる
その時、後ろから低い見知った声が響いた

「そういう事ですか、会長」

建物の暗闇からルルーシュが出てきた
それを見たスザクは顔を緩ませる
しかしカレンの言葉でその場が凍りつく

「二人って、知り合いなの…?」
「だってイレブン…」

はまたか、と眉をひそめた
しかしルルーシュは顔色ひとつ変えないで「友達だよ」と言い放った

「会長、こいつを生徒会に入れてやってくれませんか?」
「え?」
もです」

驚いたのはスザクだけではなかった
まさか自分まで言われるとは思っていなかったのか、は目を丸くしてルルーシュの話を聞いた
ミレイは微笑んで「副会長の頼みならね」と、二人の入部を快く許可した

「これで、一件落着ですね」

ナナリーのかわいらしい声で、ははっとしてミレイに詰め寄った

「あの!猫を捕まえたら生徒会メンバーのキスなんですよね!?」
「え、ええ」
「それってあたしにも有効ですか?」
「勿ッ論よー?ちゃんは誰に使うの?」

その瞬間、静かだった周りが一気にまた騒がしくなった
勿論、シャーリーも黙ってはいられなかった

「ねぇ!あなたは誰に使うの?」
「え?」

はにんまりと微笑むと、スザクの隣のルルーシュを見た
シャーリーはがルルーシュのキスを貰うのかと思い、いきなり目に見えて慌てだす
しかしその場にいた全員の期待を見事に裏切り、はナナリーに近づいた

「あたしナナリーのちゅーがいい!!」
「へ?」
「わ、私ですか…?」

間抜けな声がシャーリーから漏れる
まさかナナリーにいくとは思っていなかったのだろう

「な、ナナリーのキス?」
「ハイ!!」

眩しいくらいの笑みで答えたに、ミレイは思わず噴出してしまった
リヴァルも同様で、大きく笑い出した
けれどはナナリーの横で、ルルーシュを見下したように視線を送ると口を開いた

「ふっふっふっ!ルルーシュ!ナナリーのちゅーはあたしが貰うからね!」

何故か自慢げに喋るに、呆れたようにルルーシュはため息を漏らした
ミレイは腹を抱えながら、「それじゃぁ」と言ってナナリーの肩をポンポンと叩いた
ナナリーは少し困ったように、しかし笑顔での頬に軽く唇を押し当てる

「ふふ、ありがとナナリー」

笑顔でナナリーの頭を撫でたにスザクも思わず笑みを零す

そう、そんな平和な日々がただ過ぎていくだけで よかったのに











「お前、何がしたかったんだ」

がクラブハウスに戻ると、しかめ面のルルーシュが自分よりも先に戻っていた
声色からして、あまり機嫌がよくないのか
そしてその理由はナナリーのキスを奪ったからなのか

様々な思考をこらして、でも口にはせずはルルーシュを見た

「別にー、猫探ししただけ」

自分を置いて、とっとと帰ったルルーシュにで、少々頭にきているようだった
しかしルルーシュの不機嫌の理由は、そこにあった

何故、スザクといたのか

それを聞けず、ルルーシュは内心舌打ちする
そんなのに気づかず、は鞄をテーブルの上に置くと、ブレザーを脱いだ
その時、リビングのドアがしゅんと開く

「あ、C.C ただいま」
「なんだ、帰っていたのか」
「うん、それよりさあの猫ちゃんがゼロの仮面持ってっちゃたの知ってる?」
「……少し」

曖昧な返事のC.Cに、眉をしかめるルルーシュだったが特には言葉にはしないでおいた
は椅子に座ると、ぐっと伸びをしてからくたっと力が抜けたようにテーブルに伏せた

「ルルーシュう、お腹空いたー」

テーブルに伏せているからか、随分とくぐもっている声を聞くと、C.Cは「ピザがいい」と即答した

「あ、ウン ピザがいいー頼んで お腹空いて死にそう」
「勝手に決めるな」
「はい、決定ー急いで電話電話」

そう言うと、すぐさま起き上がり、は電話のところへ足を進めた
暫くして、「ピザくださーい」というの声が向こうから聞こえた