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「黒の騎士団っ!!」

叫びながら立ち上がるカレンに、教室は一瞬静まり返った
そして少しの間の後、盛大な笑い声が聞こえる

「か、カレン…?」

隣で眠そうに授業を受けていた凛は、その声でばっちり目を覚まし、目を丸くしてカレンを見上げていた


「珍しいね、カレンが居眠りなんて」
「そうそう、隣でいつも爆睡の凛と違って」
「…リヴァル君?」

真っ黒な笑みで凛はばきりと拳を鳴らした
リヴァルは慌てて「ごめんって」と手を顔の前で振った

「う、うん…ちょっとね…」

そう言うカレンは若干、恥ずかしそうな顔をしている

「ルルーシュに弟子入りしたら?アイツ居眠りは達人だから」
「え?」

凛とカレンの声が重なる
そして一気に4人の視線は窓の席にいるルルーシュへ
ルルーシュはいつものように、考えるようなポーズでいた

「寝てるの、アレ?」

カレンの言う通り、傍からみればどう考えても寝ているようには見えない
そういえば、毎回毎回授業中のルルーシュはあんな感じだ
凛は自分より授業に集中してないんじゃないか、と帰ったらルルーシュに言おうと心に誓った

「…?」

カレンは少し不思議そうに首を傾げた










「何、まだ眠いのカレンは」

隣を歩く凛にそう言われても、返す言葉もなく、代わりに出てくるのは大きな欠伸だけ

「そりゃそうよ、二重生活はさすがにきついわ…」
「ふふ、まあそうだよね」

小さく笑う凛に、カレンは首を傾げて口を開く

凛はなんでそんな平気でいられるのよ」
「え?」

目を丸くする凛は、言葉さえ発しなければ女のカレンでも可愛く見えただろう
しかし次にカレンに発せられる言葉を聞いて、彼女からそんな気はたやすく消えた

「ちゃんと寝坊してるし」

ちゃんとの使い方が違う気がする、とカレンはそっと思った
思えば凛はいつもいつもHRの始まる直前に教室に駆け込んでくる
だがそれだけで、そんなに元気でいられるものか、とカレンは再度首を捻る

「まぁ、あれだよね、あたしカレンとは違って毎回授業は寝てるし そこで体力回復よ」

言いながら生徒会室に入っていく
しかし部屋内に入った瞬間、凛の声が途切れる
カレンは不審に思い、ひょこっと部屋の中を覗いた

「おっはよーにゃん」
「おは、ようございます…」

猫の格好をしたミレイは陽気にドアの目の前で突っ立っている凛とカレンに声を掛けた
少々驚いているカレンとは反対に、凛は目を輝かせてミレイ達を見つめる

「え、え、何?何やってるの!?」
「あれ、聞いてなかったっけ?アーサーの歓迎会」

後ろでアーサーが情けなく欠伸をしている
つい先ほどカレンを思い出させる猫だ

「それでなんでみんなそんな格好して…」
「そりゃあ、アーサーの歓迎会よ?ちゃんと猫の格好しなきゃねえ」

おもしろそうに頬を緩ませるミレイは、いかにも楽しそうだ

「カレンと凛の分もあるからね」
「えっ、私も?」
「あたしも着替えるの?」

そう言う凛に、ミレイは思い切り飛びついた
凛はなんとか倒れこむのを防いだ

凛にはちゃあぁんと、選んであるからあっちで着替えておいで」
「へ?あ、うわっ」

言いながら布の塊を渡し、ミレイは凛を隣の資料室に凛を押し込んだ
資料室も今はただの更衣室と化している
凛は首を傾げながら、しかし好奇心に勝てないのか、わくわくした面持ちで制服を脱いだ


「死にゃばもろともってこと」
「ひっでーなあ」

そんな声が聞こえた矢先、生徒会室の端から少し遠慮の篭った声が聞こえた

「か、会長…」
「あら、凛着替えたの?こっちにおいでなされ♪」
「ちょ、無理ですよ会長…さすがにこれは…」

何故か涙目で顔だけドアから覗かす
そこにいた全員ハテナマークを飛ばして凛を見つめた
ミレイはそんな凛を気にも留めないで、彼女を引っ張った

「どうだっ!男共っ!よーく見て堪能しなさいよ」

ミレイの声とともに凛はルルーシュが座らせられている椅子の前に引っ張っられてきた

「きゃー、凛かわいいー!」
「本当、凛かわいい」
「…やめてよう、見ないで下さいー」

女子軍は凛の格好をみると、歓声の声をあげてきゃっきゃと喜ぶ
しかし男子軍はそうはしていられなかった

真っ白な凛の身体に反するような藍色の短いスカートを履いている彼女は、惜しみなく太ももをさらけ出している
そして小ぶりながら立派な胸も、大きく胸元が開かれているビキニ仕様の服に綺麗に収まっている
おまけに猫耳、猫の手、尻尾
目のやり場にこまる凛の服装は、かなり男子にはきつかったようで

「そこー視線そらしても無駄よ」

その時ばかりはミレイの声がぐさりと刺さる3人だった
凛はというと、恥じらいもあったようだが、シャーリーやカレンの言葉で吹っ切れたようでへらっと笑っていた

「…スザク?」

すると、いきなり動きがストップしてしまったスザクを心配して、凛は顔を覗きこんだ
スザクの翠の瞳には大きな涙の粒が溜まっていた

「へ…?」
「よかった…またみんなで集まれて本当によかった…」

そう言うと、スザクは目元に溜まった涙をごしごしと腕で拭った
凛は小さく彼の名前を呼び、優しく微笑む
そんなスザクを見て、リヴァルはルルーシュの上を飛び越えると、彼の腕をぐっと掴んでそのまま自分とともに後ろに引き倒した

「そこは笑うところだろー」
「ふみまへーん…」

リヴァルに頬を掴まれ、情けない声を出したスザク
その場は暖かい空気と、笑い声で埋まった

「なんか、こーゆーのいいよね…」

ぽつりと呟くように漏れた凛の言葉に、ミレイは小さく笑みを零し、シャーリーと顔を見合わせる

「あっは、とっととルルーシュのやっちゃおうよ」

にっこりと微笑んだ凛は、シャーリーから塗装道具を貰うと妖しい笑みでルルーシュの前に立ちはだかる

「い、いや、凛がやることないだろう…?」
「ふふふ、あたしがかわいくしてあげるから」

語尾にハートが付きそうな勢いで、凛は更に笑みを深くした
ルルーシュの顔は心なしか青くなっていっている

「(…ルルーシュどんまい)」

そう心のなかで思ったのはスザクだけではない