男はジノ・ヴァインベルグといった
その目にも鮮やかな金髪を後ろで三つ編みにしている彼は
いやに人懐っこい笑みを終始浮かべ、を見つめている
勿論こちらは拘束されている身、いい気分のわけがない
黒の瞳を鋭く光らせ、ジノを睨みつけるはしかしその衰弱した表情では
威厳も殺意も何も感じ取れないものだ
それを知ってかジノは更に意地の悪い笑みを口元に浮かべる
「いつまで此処に居座る気、とっとと仕事にでも戻ったら?」
「ナイトオブラウンズともなればサボったって誰にも小言なんか言われはしないさ」
「…」
意味が分からなかった
なら尚更別の場所で堂々とサボればいいものを
何もこんな囚人のいる部屋で何をしようというのか
は至極怪訝そうな瞳でジノを見やる
「本当さ、綺麗だよね」
突然口を開いたかと思われるジノは確かな足取りでに歩み寄る
そして直立状態のまま拘束されているに近づくと
その流れるような栗色の髪の毛を一房手に取り、静かに口付けた
「なっ!」
驚き、顔を背けようとするも首元を拘束する鎖に遮られる
そうして吸い込まれるようにジノはの首筋に唇を寄せた
びくり、と大袈裟に身体を震わせ身体を捩り、抵抗の意を見せ始める
が完全に丸腰な上、相手は大柄な男
力でどうにかできる状態ではなかったのだ
「何すっ、やめてよっ!」
何故、いきなりこんなことを
見せしめなのか、ブリタニアに反旗を翻した自分に対しての
それにしても意地が悪いこの男には殺意を覚える
「ちょっ、!何してっ、…」
「勿体無いなあ、本当に、こんなブリタニア人顔負けの容姿なのに黒の騎士団だなんて」
「あんたになんか関係ない…っ!」
「ふーん、ま、別にいいけどさ、」
顔は笑みを浮かべているのにその声色はひどく冷たい
は全神経を研ぎ澄ませ、ジノの行動を伺う
が、その予測をまるで裏切るかのように、ジノは再びの首筋に顔を埋めた
そうして食いちぎられん勢いで首筋に歯を立てると、強く吸い上げる
の鼻に掛かった声が漏れたのはそれからすぐ後だった
ぬるりとした感覚を首筋に感じ、血が出たのだと察する
するとジノはそれを労わるかのようにべろり、と傷口を舐め上げた
首筋に寄せる唇はそのままに、ジノはの身につける拘束着に手を伸ばす
ゴムも通されていなければ伸縮性もないそれをぐ、と下に引き摺り下ろせば
当然のように白い肩が剥き出しの状態になる
さすがに危機感を覚えたのか、が声を上げた
「いやだっ!やめてよっ!」
「興味あるんだよねえ、スザクがあんなに未練たらたらなのが、
だから俺もそれを知りたい、君の事ぜんぶ」
空色の瞳が深い色を醸し出していた
その瞳にが一瞬気をとられたのをいいことに、ジノは白い肩にも唇を寄せた
ぞろりと舐め上げ、そのまま吸い上げる
を襲うのがいつしか危機感から期待と快感に変わっていたのに本人は気付いていないだろう
肩、鎖骨、そして胸元
ずり下ろされただけで膨らみ全て曝け出されたわけではないが、逆にそれがジノの欲情をそそる
小ぶりな形のいい胸を掴むと、ジノはそれをゆっくり、しかし強く強く揉みしだいた
途端上がる嬌声に、ジノは更に口元に描く笑みを濃くするのだった
「…っく、ん、」
眉を寄せ辛そうに、それでも声を漏らすまいとは唇を噛み締め、快感に耐える
その姿がより一層加虐心を引き立てることには恐らく気付かないのだろう
首を横に振って、必死に快感をやり過ごそうとは瞳の淵に涙を溜めた
そのうち薄い拘束着の上からでも分かるほど、固くなり主張を強める突起を掌に感じ、
ジノはその紅潮する耳元に唇を近づけ、そっと囁く
「…い、ん、ら、ん」
かっ、との顔に血が溜まるのが目に見て取れる
それから我を取り戻したか、急に目つきを鋭くしては射殺さん勢いでジノを睨み付けた
が、羞恥に頬を染め、大きな瞳に涙まで溜めて此方を見上げる様は
誰がどう見ても行為の先を促しているようにしか見えないのが現状である
「その顔、他の男の前でしない方がいいよ」
「…やっ!」
低く告げると、そのまま僅かに震える太腿の間に手袋を付けたままの手を滑り込ませる
弾力のある柔らかい内股を撫で、手を上昇させた
指先に当たるのはくちゅり、と卑猥な音を立てる下着
手袋からその感触は伝わらないが、音からして恐らくしっとりと湿っているのだろう
案の定、泣きそうに顔を歪めるが固く瞳を瞑っていた
「あーあー、敵でもある俺に感じちゃった?」
「…っ、ふ、」
ブリタニア本国で、しかも皇帝直属の騎士ナイトオブラウンズによって
熱を高められるなどさぞかし屈辱的な行為だろう
足の付け根と下着の間から指を差し込めば、小さな肩が大きく揺れた
ジノはそのまま躊躇せずに、手袋に包まれたままの指を愛液で溢れる其処に突き立てる
上がったのは曇りのない甘い嬌声だった
「んぅっ、あっ、」
やはり濡れてはいても慣らしもせずに指を挿入させられれば、痛みが生じるらしい
ついに溜まっていた涙が白い頬を濡らした
その涙を舐め取るように掬い上げ、最後にちゅ、と頬を吸う
口元をへの字にして、僅かに抵抗が弱くなったのを見計らうと
中にいれたままの指をゆっくり動かし始めた
「あっ、んっ、やだっ、」
「…やだ?よく言うねえ、こんなに濡らしてさ」
「ふっ、いやだぁっ、ゆ、び…っ!」
「ああ、手袋のままだったね、うーん、まあいっか」
残酷に言い捨てるジノは内壁を抉る様に爪を立てた
拘束され、秘部を弄られ、行き場を失くすか細い指が縋るところなど何処にもなかった
「やぁっ、っく、」
「ねえ、聞いて」
低いその物言いで囁かれ、は肩を揺らす
「俺なんか本当にのこと、欲しくなって来たかもしれない」
そう言って、指の動きを早めた瞬間だった
扉の奥で小さな物音が響き、しかしその音は二人にもしっかり届いた
驚いて困惑の瞳をジノに向けるは目に見えるほど動揺している
ジノはにっこりと笑みを浮かべ、そして告げる
「見張りの軍人来ちゃったっぽいからまた今度な」
と、中で動かす指を止め、引き抜く
ぺっとりと濡れてしまった太腿を自身のマントで軽く拭いてやり、身なりを整えてやる
中途半端に熱を高められたは潤む瞳でジノを睨み付けた
それでも笑顔を貼り付けたジノは最後にひとつ、の額に口付けすると踵を返す
マントを翻し背中を見せるジノに、は意識が遠のくのを感じた
「…スザクも隅に置けないよなあ」
その声を最後に、は高めに高められた熱を放つことなく意識を手放したのだった