こんなしっかりとした睡眠をとったのはいつぶりだろうか
此処、ブリタニア本国に囚われてからというもの、警戒や緊張、不安や憎しみなど、
とにかく一度に脳に送られる精神的刺激にしては重すぎるものがあって睡眠すらまともにとれていなかったのだ
それがどうしたことか、薄っすら瞳を開けた瞬間に襲うまどろみ
視界はぼやけてはっきりしないものの、背中に感じる柔らかなそれに再び睡魔の渦に飲まれそうになった

「あ、起きた?」

が、突如響いた声にいやでも意識が引き戻される
鼓膜を揺するその声に、段々と意識がはっきりしてくると同時に視界がクリアになっていった
見えてくる、豪勢な天蓋と白い天井
意識がはっきりしてくると同時に、腕に冷たいそれを感じてははっきりと覚醒した

「やっぱ疲れてるんだな、ずーっと寝てたぜ?」

先日聞いたばかりの、忌々しい声色に無意識に眉間に皺が刻まれる
と、人間の自然的な行動としては思わず上体を起こした

「…此処は、」

どうやら自分は天蓋つきの大きなベッドに寝かされていたらしく、しかし腕は布のようなもので拘束されている
服装はやはりあの密室に監禁されていたのと同じ、拘束着にしては随分質素なものだ
そうして極めつけは広い広い、部屋の隅に位置する扉、その手前に佇む青年である
金髪蒼眼、いやに長身で整った顔付きの、ジノ・ヴァインベルグであった

「…」

先日の忘れたくとも忘れられぬ陵辱、溜まりに溜まった熱が、今でも身体中に湧き上がってくる
はその本能からか、射殺さんばかりにジノを睨み付けた
しかしこの状況下、自分は丸腰の上に拘束をされている
また、あんな陵辱を味わうのか、こんな男に

「ほらほら、そんなに緊張しない」
「…っ、来るなっ!」

叫んでみてもジノはただ薄く笑みを浮かべているだけでその距離を確実に縮めている
そうしてのいる、ベッドにまでやってくるとするり、とその白い頬をなで上げた

「…この間はさ、最後まで出来なかったじゃん?だから今、この間の続きしよ」

まる他愛のない会話を繰り広がるかのような、そんな軽い口調で
上体だけ起き上がった状態のは思い切り柔らかなベッドに押し倒した

「んっ!」

危機感を感じて、最後の抵抗までとはいかないがが暴れ出そうとしてもそれより早く唇を奪われる
性急な、貪るようなキスに酸素さえまともに取り込めない
顎を強く引かれ、舌を差し込まれると、そのまま縦横無尽に這いずり回る彼の熱いそれ
逃げ惑い奥に引いたの舌を絡め取ると、唾液が混じりあい音が成る程強く吸い上げられる
じん、と頭の奥で何かが疼くのを感じた

「…、んっ、んぁ、ふ」

酸素が足りない脳は判断力を誤らせる
胸の上で拘束された腕で、どうにか彼の文字通り逞しい肩を叩いた
だらしなく飲み込みきれなかった唾液が伝い落ちる感覚が気持ち悪い
何度も何度も角度を変え、そうして最後、わざとちゅ、と音を立てて漸く唇を開放した

「…、なんだキスだけで感じてるじゃん」

眼下には頬を染め、僅かに目元に涙を溜めるを見て、ジノは吐き捨てる
これが人間の生理的現象なのだと否定したくとも、服の中に差し込まれた手に、何も言えない
下着が着けられていない、その小ぶりな胸をまさぐり見つけると、突如それを強く掴んだ

「ひあっ」

痛さが勝るのか、上がったのは曇りのない悲鳴に似た嬌声
指先で先端の蕾を捏ねながら、掌全体を使って強く揉みしだく
先端のそれは段々と固さを帯びていくというのに、小ぶりな胸は驚くほど柔らかい
ふにふにと、しかし弾力のある胸が、素直に可愛らしいと感じた
そう思って、それから一気に拘束着を捲り上げた
一枚のワンピースのような形のそれは捲くり上げてしまえば秘部を覆い隠す下着と
白い肌と赤みを帯びる突起が惜しみもなく露になる

「…、可愛い」

呟き、今の今まで手を置いていた胸に顔を埋めた
びくり、と震える肢体を押さえつけ、紅い突起を口に含んだ

「んん、っ、」

唇で突起を挟むようにしてやればくぐもった声が耳に届く
きっと彼女のことだから必死に声を押し殺してでもいるのであろう
そう考えると、途端にもっともっと乱れた姿が見たくなり、ジノの性欲を煽るのだ
口に含んだそれはそのままに、するすると手を下降させていくと震える秘部をふと撫で上げる

「やっ、…やだぁっ!」

ついにはぽろぽろと涙を零し抵抗を始める
それでもジノの手が動きを止めることはなく、あっさりと下着は剥かれたのだった
そうしてくぼみに指先を滑らせると、ねっとりと何かが纏わりついたのを感じる
先日とは違い、素肌に感じる愛液にジノは満足そうに笑みを浮かべた

「…やっぱり、敏感な身体だね、いやらしい」

咎める様な口調にはくしゃり、と表情を歪ませる
そっと口元からすっかり濡れそぼった突起を離し、暫し上体を上げた
なんて美しい表情を見せるのだろう、とジノはほうとため息を漏らした
勿論自分が彼女に強姦まがいな行為を押し付けていることは自覚している
しかし問題は彼女の反応でもあるのだ
まるで行為の先を促すような、(否本人はただ快感に苦しんでいるだけであるが)
ひどく性欲を煽られているかのように感じてしまうのだ

「…ねえ、、続き、してほしい?」
「っあ、ふ…、ん」

ここまで熱を高めさせておいて何を言うか
そういった意味合いで至近距離でその深い空色の瞳を睨み付けた

「だから、そういう顔はしないほうがいいって」
「ひっ、あああっ」

ずぷり、と行き成り二本もの指を根元まで差し込む
勿論、推し進めるには抵抗も感じるがそれも最初だけで、
ある一点を過ぎれば驚くほどスムーズにそこはジノの指を受け入れていったのだ
彼が至極嬉しそうに笑みを零したのは、言うまでもない

「…淫乱な身体だね、本当、…何、スザクにでも開発してもらったの?」

茶化すように耳元でそっと囁けば、差し込んだ指が強く締め付けられた
それに気をよくしたジノはその少し上に位置する赤く充血した突起を親指で潰すように刺激する
胸の前で拘束された腕を振り乱してどうにか快感をやり過ごそうとしても叶わない
内壁に爪を立てた瞬間、はあっさり達してしまったのだった

「んあああっ、…は、ふ、…、っ」

ぐったりと力の抜ける肢体
肩で息をするにジノは差し込んだ指はそのままにかちゃかちゃと自身のベルトを抜き去った
そうして一瞬の隙も与えないかのごとく、指を抜き去るのと同時にその熱を押し込んだのだ

「くっ、やあっ、痛っ、」
「…ん、きっつ」

指で慣らされただけのそこはさすがに狭く、ジノは辛そうに眉を寄せた
先端を埋め込んだまま、暫し動きを止めたジノはふいに突起に指を伸ばす
先ほど同様、ぐに、と潰すように捏ねれば急に内壁の圧迫は緩んだのだ
その一瞬をつき、最奥まで突き上げる
熱くうねる膣内に、ジノは固まった息を長らく吐き出し、ゆっくりゆっくり抜き差しを開始した

「あっ、あっ、んっ、あっ、…ひっ」

突き上げるたび零れる甘い嬌声を耳にしながら、ジノはその細く白い足首を掴むと
そのまま自分の肩にの足を担ぐ形で腰を進めれば先ほどより奥まで熱が届く
ぐ、とくの字その小さな身体を折り曲げ、今度は勢いをつけて律動を開始した
ぐぷぐぷと溢れ出る愛液を指で掬い、の小さな口に捻じ込む
その下半身からの圧迫に加え、酸素もまともに取り込めないとなればは苦しさに身体を捩った
しかしそれによってジノの自身が膣内で擦れ、は更に苦しげに喘いだ

「ふぁっ、ああっ、…んっ、くっ」

先端がまるで抉らんばかりの勢いで最奥を突くのだからは再び脳裏に閃光を感じた
即ち、限界が近いのである
自身の掌に爪を立てることしかできないは固く瞳を瞑って快感に耐えた
そんな彼女に気付いたジノは、更にを追い立てるように動きを早める
そしてある一点をジノのそれがぐり、と当たった瞬間、は白い喉を仰け反らして二度目の絶頂を迎えた

「っ」

まるで真綿に包まれているような、しかしその搾り取られそうなほどの刺激にジノは息を呑んだ
今だ激しく収縮する膣内に自身を捻じ込ませると、漸くその欲を放った

「あっ、ん」

注ぎ込まれる、熱い熱い、それ
じんわりと広がってゆくそれにはぶるりと腰を震わせた
が、欲を放ったというのに依然熱を持つジノの自身には眼を見開く
声を上げようとしても、シーツと背中の間に手を差し込まれ、そしてそのまま上体を起こされた
当然繋がったままの二人だから、体位が座位へと変わったのだ
より深く挿入される体位には絶えず涙を零す

「やあっ、ん、もっ、…もう、やだっ」

口ではそういうもの、相変わらずきゅ、きゅ、とジノを締め付けるは唇を噛み締める
今度は下からの突き上げには最早呼吸すらままならなかった

「ん、君って本当、可愛いよ」
「…あっ、はっ、んんっ、あぅ」
「…できることならスザクよりも早く、君を俺のものにしたかった、よ」

ぎしぎしとスプリングが軋む音など既にの耳には届かない
本日二回も達しているにとってこの行為はもう苦痛なものでしかないのである
例え、幾ら身体が彼を欲しがっていたとしても、だ

「ねえ、、スザクのことは忘れて、俺を、好きになってよっ」
「…あんた、なんてっ、嫌いっ、やあっ、んっ、あっ、」

必死に抗議の言葉を唱えようとしても下からの痛いほどの突き上げにうまく声にならない
それでも首を横に振り、涙をぽろぽろと零すはひどく儚げで
ジノはあっさりとそんなに堕ちていくのを自身でも自覚していた
これでは自堕落もいいところである
しかも忘れてはいけないのは、彼女は黒の騎士団の団員であって、ブリタニアの捕虜であること

「くぅっ…はあ、あ、あ、…ん」

握り締められた白い拳をそっと上から包み込んでやる
それを振り払うことすらにとっては容易ではないのだろうか
瞳をきつく瞑り、一刻も早く行為の終わりを待っていた
ジノは深く深く挿入した後に、ぎゅっとのその小さな肢体を抱き締める
緊張と警戒に震えるその身体が愛しくて、愛しくて、そうして、手に入れたくなるのだ
鎖骨よりやや下の位置の肌を思い切り吸い上げ、紅い痕を残す

「…なら、力づくでも、、君を、私のものにしてやるよ」

幼い頃から貴族の人間として育ったジノの本来の一人称が低く耳元に残り、は切なげに唇を噛み締めた
そのまま薄い腰を掴んだかと思うと、ジノは再び激しい挿入を繰り返した
交じり合った愛液と白濁液が淫らな水音を立てる
じゅぷじゅぷと抜き差しの度に零れるその体液がジノの太腿を汚した

「はっ、…もっ、だめっ、やだっ、ぅああああっ」
「っく、」

ぎゅ、と激しく収縮を繰り返す膣内に本日二回目の精液を流し込んだ
ごぽごぽと注ぎ込まれる熱い熱い、それがの意識を遠のかせてゆく
いつしか深い空色の瞳を見つめたまま、は小さく息をついて、そして意識を手放した

「…」

凭れ掛かってくるその白い肢体をジノはそっとベッドに横たえた
ずるり、と自身を引き抜けば先端との其処とを白い液が糸になっている
汗ばんだ額に張り付く前髪を退けて、小さくキスを落とした

…」

欲しい、彼女が欲しかった
黒の騎士団のくせに、捕虜となったくせに怯える様子さえ見せない彼女が、
シュナイゼル殿下を興味引いた彼女が、
一途にいつまでもいつまでもスザクを想う彼女が、
自分のものに、自分の手中に収めてしまいたくなったのだ

これはきっと衝動的な何か
だってそうでなければジノはこんなにも敵であるを欲しいとは思わないだろう
きっと彼女はまたあの密室に放り込まれるのだ
その前に、彼女を、何処かに、攫ってしまえたら。

「…ジノ」

すっかり身支度を整え、この部屋に入って来たときと同じようにぴっちり騎士服を着込んだときであった
ふいに耳に届く、少年の声
見れば暗い部屋に明かりを差し込まんばかりに扉を僅か開けて佇むスザクであった
複雑な面持ちな彼はきっとこのベッドで横たわる少女に気付いている

「…、何しているんだ、彼女は捕虜だろう」
「捕虜なら別に構わないだろ?それに、殺すわけじゃないんだし」

ちょっとした戯れだよ、青年はわざとらしく笑みを浮かべた
ナイトオブスリーのその笑みに、同じくナイトオブセブンの枢木スザクは表情を歪める

「…彼女は僕が実験室に戻しておく」
「お、そうか、ありがとな、スザク」

低く告げると、ジノは肩を竦めて笑って見せた
そのまま扉に近づくにつれ、縮まるスザクとの距離
茶色頭の少年の隣を僅か過ぎたところ、ジノはふと足を止めた

「あれは、貰ってもいいかな?」
「…何を言ってるんだ」
「だってあの子、随分スザクのこと気に入ってるみたいだし?」

そういい残し、ジノは今度こそ部屋を後にした
残るのは、唇を噛み締めるスザクと、暗闇と、静粛だけ
そっと部屋に足を踏み入れ、ベッドに近づいた
律儀にシーツが掛けられている彼女は案の定、小さく寝息を立てている
そしてくっきりと残る涙の痕と、首筋に見える紅いそれ

「…、君は」

君は僕を裏切ったんだろう、ルルーシュと共に反逆を起こして、裏切ったんだろう
なのに、どうして、いつまで僕の名前を口にすれば気が済むというのだ
もう、やめてはくれないか

「…」

薄い色素の、しかし柔らかな唇にそっと口付けを落とす
決別だ、愛しくて大好きな、彼女への

これ以上、好きになりたくない
どうせなら皇帝に自分のことまで忘れさせてくれればよかったのに
そう思惟して、スザクは自嘲気味に笑みを浮かべたのだった